すると、休憩しているあいだもその文章のことが完全には頭から離れず、「次はどんなふうに展開していこうかな……」と頭の片隅で無意識に考えてしまう。まさにパソコンのスリープの状態に近いかもしれません。表面上は停止しているように見えつつも、バックグラウンドでは動いている状態です。そして、いざ作業を再開すると、頭の片隅で気になっていただけに、ごく自然にまた作業に向かえるし、中断前の集中状態にもすんなり入れるというわけです。

 このように、やり切ったことよりも達成できていないことのほうが、より強い印象として残るという現象を、「ツァイガルニク効果」と呼びます。そしてじつはこれ、集中力が高いといわれる人ほど実行している方法でもあります。

やる気がないときは「とにかくやり始める」!

 とはいえ、やはり人間ですから、集中する以前にやる気が起こらないこともあります。デスクに向かう気がどうにも起こらない。ペンやキーボードに触る気がどうしても起らない…実は、これも脳の特徴を考えると当たり前のことなのです。

 脳はとても洗練された器官のようですが、その重量の割には燃費の悪い臓器で、働かせるにはかなりの酸素や栄養が必要です。とくに何か新しいことをするときには、相当なエネルギーが必要となります。だから、脳としては余計なエネルギーがかからないように、なるべくいましていることを変えたくない。いましていることをできるだけ継続しようとするし、逆に新しいことをしようとする際には何らかのブレーキがかかるようになっているのです。

 逆に一度始めてしまえば、続けようという力が働くのです。つまり、始めてしまえば、その後は苦もなくやり続けられるということ。要はやる気を起こさせるには、“とにかくやり始めること”が何より重要なのです!

 そもそも、なぜやる気が起きないのか。それは、まだ始めていないためにそのタスクの“魅力”がイメージできていないことが大きな要因です。だから「面倒くさいこと」や「大変なこと」といったハードルばかりが頭に浮かんできてしまうのです。

 これを解消するには、その作業が意外に楽しいということを、身体の“末梢”から教えてあげることです。末梢とは、文字をタイプするときの「指」や、ものごとを見る「目」、身体を動かすときの「筋肉」や「皮膚」などのこと。まずはそれらの末梢を無理やりにでも動かしてみて、そこから作業の楽しさを脳に伝えるのです。