訪日中国人旅行者をターゲットとしたインバウンドビジネスといえば、まず思い浮かべるのはホテル、レストラン、デパートなどだろう。だが、中国人観光客の消費動向が「モノ消費」から「コト消費」へと変わる中、現在、多くの中国人富裕層から注目されているのが日本での医療サービスだ。日本の医療機関でも外国人観光客を受け入れる動きが高まっており、今後の需要拡大が期待できる。だが、その一方で、トラブルも多発している。(『東方新報』取材班)
中国人専用の医療サービスに乗り出す総合病院
亀田総合病院系列で東京駅の近くにある亀田京橋クリニックは今年4月、中国人専用の検査と診療サービスを開始した。
亀田総合病院の亀田隆明理事長は、「日本の医療は、技術やサービスの質、あるいはコストパフォーマンスにおいて世界の先端レベルです。現在、亀田総合病院を訪れ診察を受ける中国人の数は年間200人を超えており、手術や治療の予約は3ヵ月先まで埋まっています」という。
こうした中、中国人患者の受け入れ態勢を拡大するため、前述の通り、亀田京橋クリニックで中国人専用の医療サービスを開始したのだ。
中国からの顧客や患者により良いサービスを提供するため、同クリニックの外来では人員配置やハード・ソフトの両面で工夫をした。
例えば、中国語のウェブサイトを開設し、サービスの詳細を掲載している。また、クリニックには中国語ができる医師、看護師、事務員を配置した。そして、予約を入れれば優先的な対応を受けられ、静かで優雅な部屋の中で、中国語の通訳などVIPサービスを享受できる「特別診察室」も設けた。
ちなみに亀田総合病院と中国との関わりは、すでに30年以上に上る。