それでも充実してきた
「ないよりマシ」な制度の数々

 民間保険に加入していない人、加入していても保険金支払いの対象にならない人には、「共助」がある。終戦直後の1947年に制定された災害救助法は、翌年の1948年、約3800人の死者が発生した福井地震で、早速役立つことになった。この後、大災害のたびに、地盤や建築に関する調査研究、建物や地域を被災しにくくするための法整備(たとえば建築基準法改正)、発災時の行政の活動に関する制度整備が重ねられてきた。

 また、1995年の阪神淡路大震災を契機として、1998年、被災者生活再建支援法が制定された。それは、実に画期的なことだった。個人の財産である家屋の被災を税によって救う制度は、「私財の損失を公費で救済するなんて」という考え方の壁に阻まれ、日本には1998年まで存在しなかったからだ。

 被災者生活再建支援法の申請方法や支援金の金額は、数回にわたって見直され、より簡略に、より充実した支援を受けられるように改善されてきている。それでも、想定されていなかった災害のたびに、まだまだ不充分であることが明らかにされ続けている。

 また、「それは自然災害なのか」「それは被災なのか」という問題が、過去にないタイプの災害のたびにクローズアップされる。たとえば、自然災害によって起こったプラント爆発の被害を受けた人は、自然災害の被災者と言えるのか。東日本大震災が引き起こした福島第一原発事故によって避難を余儀なくされ、避難先が生活拠点となってしまった人は、「自然災害による避難者」なのか。議論は尽きない。しかし、「ないよりマシ」「あれば助かる」制度であることは確かだろう。

 さて、今回の台風15号で、被災者生活再建支援法は活躍するだろうか。

 災害のたびに、「半壊の壁」が話題となる。被災者生活再建支援法で支援金が給付されるのは、「全壊」と「大規模半壊」だけだ。「半壊」や「一部損壊」の場合は、対象にならない。そもそも、対象は災害救助法の適用対象となった自治体に限られる。1軒だけが被災している隣接自治体では、被災した1軒は基本的に対象外だ。