持続可能な食生活。といっても「続けられるダイエット」という意味ではない。

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 今年1月、16カ国、37人の研究者が英医学誌「ランセット」で提案した「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」のことだ。

 研究グループは、現状の食料供給システムは地球環境に負荷をかけ、人類の健康を脅かす唯一にして最大のリスクと定義。裏返すと「食」の転換が、人間社会と地球環境の“健康長寿”を持続させる最も大きな手段だという。

 具体的には、地球規模で赤身肉の消費量を半減させるよう提案。穀物エネルギーを100とした場合、わざわざ肉類に変換(つまり飼育)する過程でロスが生じ、人の口に入るころには3~10へ激減するからだ。同じエネルギーを得るにしても穀物と肉とでは、環境への負荷が桁違いになる。

 しかも、赤身肉の過剰摂取が健康リスクになるのは確実。そこで、赤身肉の代わりに摂取量を増やすべきとされたのが野菜と果物、ナッツ類、豆類などで、これにより全世界の死亡率が19.0~23.6%改善すると推測している。

 地球規模うんぬんでピンとこない方は、先日報告された国立がん研究センターの「JPHC研究」が参考になる。

 40~69歳の日本人およそ7万人(男性45.5%、平均年齢55.6歳、女性同55.8歳)を平均18年間追跡調査した結果、穀物や豆類から植物性たんぱく質を多く摂取している人ほど、長生きであることがわかったのだ。

 一方で、摂取エネルギーに占める赤身肉からのたんぱく質の一部(3%程度)を植物性たんぱく質で代替すると、心血管疾患死およびがん死のリスクが減少。加工肉から植物性たんぱく質へ切り替えた場合は、さらに低下することが示されている。

 ちなみに、総たんぱく質摂取量や、魚を含む動物性たんぱく質摂取量と死亡率との関連は認められなかった。量より質なのだろう。

 それでも「美味しいお肉」を諦めるのは難しい。まず、おかず一品を煮豆やソイミートに切り替えることから始めてみよう。地球と自分に優しい気持ちになるかも。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)