恋愛は「幻覚」に近い?
スマホ依存との比較

 恋愛感情は、人間のさまざまな行為の中でも「ドパミンが爆発的に活性化する状態」と梅谷氏。だからこそ、依存状態になる可能性も考えられるようだ。

「ドパミンは私たちの人生に強い影響を与えています。例えば、統合失調症はドパミンが過剰分泌する病気。幻覚や妄想という症状が表れます。逆にドパミンが減少するのがパーキンソン病ですが、治療目的でドパミンを投与すると、やはり頻繁に幻覚が生じます。ここからはあくまで私見ですが、恋愛とはドパミンの過剰分泌状態ではないでしょうか。
 
 恋をすると、相手がとても美男美女に見えて、この人と一緒になれないと自分の人生が終わりだという気分にもなる。でも、あとになって冷静に振り返ると、『あれって一体何だったんだろう?』と(笑)。もしかしたら、それはドパミンが見せてくれたすてきな『幻覚・妄想』という気がするんですよね」

 なお、最近はスマホ依存やネット依存という言葉も増えてきた。これらは、人の感情を動かすメディアを見ることで、ドパミンが出る機会をつくっているともいえるようだ。

「恋愛はドパミンを劇的に活性化させてくれます。でも、相手と関係を築くには手間がかかりますし、トラブルが起きたときのダメージも大きい。そこで、スマホでのおしゃべりやネットのゲームなど、手軽にできて、少なめだけどドパミンを簡単に得られるものに依存しやすくなっている。最近の『スマホ依存』『ネット依存』をみているとそんな印象がありますね」

 もしも恋愛依存症になった場合、治療はどうするのだろうか。他の依存症と同様に、「薬物療法」や「心理療法」が行われるという。薬物療法では、軽い抗不安薬や抗うつ薬などが処方されることが多い。

 心理療法では、「認知行動療法」などを用いたカウンセラーの面接や、同じ悩みを持ったグループで語り合う「集団療法(グループミーティング)」といった手法が取られる。大切なのは、治療的な人間関係の中で「さみしさ」を軽減し、自己肯定感を充足すること。それにより、薬物や行為に依存してしまう思考・行動パターンを変化させてゆくのである。

 恋愛は人間にとって欠かせない感情であり行為のひとつ。だからこそ、その感情の仕組みを紐解いていくと、さまざまな人間の素顔が見えてくるのかもしれない。