お薬手帳で情報共有

鈴木:多くの人のお薬手帳は、単なる薬の情報、しかも薬剤師さんが患者さんに渡した薬が何かという記録帳になっていると思います。
 でも、それは本来の使い方ではなく、本来は患者さんが薬を自分で主体的になって管理するもの。患者さんが自分で、患者の目線でどんな薬を飲んでいるかを把握したり、さらには自分の身体にどんな不調や変調があるのかを記入するものです。
 単に薬の情報が書いてあるシールを薬剤師さんがペタペタ貼る台帳ではなく、患者さん自身がいろんな自分の情報を書き込んで、薬剤師と情報共有できます。私は医者とも共有するツールとして使えばいいと思っていて、診察の時や入院する時に、医師、看護師、病院の薬剤師と共有するのに大切なツールだと思います。
 ですから私は、お薬手帳を単なる薬の情報にとどまらず、健康そのものに対しての情報を盛り込んだ健康手帳として使っています。

後閑:なぜこの薬を飲んでいるのかということは、患者さん自身にも知っていてほしいです。医者まかせ、薬剤師まかせでなく、自分自身の身体と向き合うために大事な手帳ですよね。

鈴木:薬に限らずに、なんか体調おかしいとか、今日は頭痛がするなというのを、あとで診察の時に医者に言おうと思っていても忘れてしまったり、よくわからなくなったりしてしまいますから、いつどんな時に、どんなふうに起きた症状なのかを文字にして記録し、医療者と共有すると、診察の精度がより高まるわけです。そういうためにも記録しておくのは大事です。
 そうすることで自分自身の意識も高まるし、忘れないですよね。あれを医師に言おう、薬剤師に言おう、看護師にあれ聞こう、と思ったことを書いておけば忘れないでいられますしね。

後閑:すごく聞きにくいことなどを文字にしておいて、先生に見せてもいいですしね。

鈴木:私は時々、薬を飲み忘れてしまうんですが、残薬の数字をお薬手帳ならぬ健康手帳に書いて医者に見せるんですね。これくらいまた飲み忘れてしまったんです、と言うと、次の処方箋から減薬してくれます。だって家に薬が余っているんですから、処方箋で調節してもらえばいいわけです。
 健康手帳に数字を書いておけば反映してくれるので、そういう使い方もいいですよね。

(1)肉体的、精神的、社会的な「健康」と「死」について考えよう。
(2)自分のカラダと向き合うために、専門家を味方にしよう。
(3)お薬手帳で医療者と自分の「健康」を共有しよう。