自分のカラダと向き合う

後閑:「病気でも『健康』に生きる」ために、自分の身体と向き合うことが必要で、のぶさんの本にも自分の身体の専門家になろうって書いてありましたね。

鈴木:そうは言いつつも、独りで自分の身体と向き合うのは難しいので、その際の味方として、私は薬剤師を推します。
 医者は基本的に専門性が高く、専門分野は得意だけれど、広い分野となったら、なかなかその情報や知識を得ることが難しい。一方、薬剤師は薬を介してにはなりますが、一つひとつを深くというよりは、広く患者さんの生活全般を支援することが本来の使命です。
 ですから全般を見てくれるという意味合いで、自分にとってのお気に入り、何でも相談できる薬剤師さんを探せるといいなと思います。

後閑:世間一般の認識では、薬剤師って処方箋持っていくと薬に変えてくれるだけという気がします。

鈴木:でも、本来は専門性が高くて知識も豊富です。
 自分の味方になってくれる医療者は一人でも多いほうがいいですし、医師の視点だけでなく、広く全般的に生活まで見ることができるということで薬剤師もかかりつけとして選んでおいたほうがいいでしょう。

後閑:私たちの共通の友人でもある薬剤師の吉田聡さんが、医者はどうしても患者さんの症状が悪くなった時に病気が悪化したのかもという目線で薬を足そうとするけれど、薬剤師は新しい症状が出たら薬の副作用かもしれないという目線で薬を引き算しようと考えると言っていましたよね。
 目線がちょっと違うから、違う角度で自分の身体をサポートしてくれる。どっちの目も大事ですね。

鈴木:医者って、基本的に病院やクリニックの診察室でしか会えないんです。でも、薬剤師は薬局にぷらりと行って相談ができますし、多くの薬局はそれをウエルカムにしています。
 病気になる前の段階から薬剤師には相談できるわけで、そういう段階から関わらせてもらうといいのではないでしょうか。

後閑:病院に行く前に、先生にどうやって相談したらいいかなどという相談を薬剤師にする。それから医者にみてもらって、その後にこうだった、とまた言いに行くという薬局の使い方をしてもいいですよね。

鈴木:薬剤師の役割の中に「受診勧奨」という言葉があるんですが、薬剤師がその振り分けをすることもできます。何科にいけばいいんだろう、とかいうことです。
 こういう言い方をすると何ですが、あの病院のあの医師は信用できるかとか、どこの病院がいいだろうとか、そういうことを含めた相談ができます。

後閑:確かに、看板は「内科」と掲げていても、実は専門は糖尿病とか消化器とかいう場合もありますよね。

鈴木:そうなんです。そういうことを薬剤師はわかっているから、聞いてみるといい。その医者の本当の専門は何か、得意分野あるいは不得意分野、あるいは人間性とか。
 できる薬剤師は処方箋を見ただけで、この医者は勉強しているかどうか、きちんとした知識を持った医者か、知識をアップデートしているかといったこともわかるそうです。そういうことも含めて薬剤師とうまく付き合う文化を作りたいと思っています。