早期希望退職者の募集時、3つの選択肢にはそれぞれ「落とし穴」がある早期希望退職者の募集時、3つの選択肢にはそれぞれ「落とし穴」がある Photo:PIXTA

大企業にとって、かつてはマイナスのイメージがあった早期希望退職者の募集だが、最近は経営戦略の一環として積極的に取り入れる企業が少なくない。募集されたとき、どう考えて対応すべきなのだろう。(大槻経営労務管理事務所・社会保険労務士 小林 剛)

 富士通、東芝、パイオニア、コカコーラボトラーズジャパンホールディングス、アステラス製薬、協和発酵キリン、アルペンなど、誰もがうらやむ大手企業での早期退職希望者募集のニュースは後を絶ちません。

 かつて「早期希望退職者募集」といえば、傾きかけた会社における「リストラの前哨戦」といった位置付けでした。不要な人員を整理しコストを削減し、再建への第一歩を踏み出す会社の意思表明として、まずは社員に問いかけるもの。

 しかし、近年はそうではなくなっています。自社の業績が悪くなる前に、体力のあるうちに、将来を見越した“前向きな戦略”として先行実施する会社が急増しているのです。

なぜ今「早期希望退職」が
進められているのか?

 現在、売り手市場といわれて久しいですが、どこの会社でも人手不足が叫ばれています。