「医者と患者さんの間に本当の信頼関係が築けていたら、私は医療裁判なんか起こりようがないと思っています。

 心の底から患者さんのことを思っていれば、真心は必ず通じるし、自分の身体も動きます。『心があれば体が動く』です。天はちゃんと見てくれていると思っています。私の生き方の指針としては、いつもそういう意識でいます。自分を律し、手抜きしない。

 学生たちにも言っています。『自分の受け持ちの患者さんを自分の親だと思いなさい』と。親だったら、どんなに忙しくても、朝と晩ぐらいは必ず顔を見に行くでしょうし、診療計画も、一番近道で一番負担の少ない方法を考えるでしょう。余計な検査はしないし、薬も、必要最小限の薬を処方する。

 臨床はずっとそういう気持ちでやってきていますし、患者さんを治してあげたいというそのような思いが、研究の原動力にもなっています」

40年を経てたどり着いた
「本質はシンプル」という境地

 超音波治療の前身となった衝撃波を用いる狭心症治療は、日本では2010年に先進医療として承認されたほか世界でも導入が進み、これまでに、25ヵ国で1万人以上の患者の治療に使用され、有効性と安全性が報告されている。

 一方、超音波を用いる認知症治療については、18年6月から軽症アルツハイマー型認知症の患者を対象に安全性を評価する治験治療が行われていたが、19年3月に第一部が終了し、6月からは、さらなる有効性の評価を検証するために、患者40人を対象とした第二部の治験治療が開始されている。

 早ければあと4年で実用化される可能性があるのだ。