視覚ノイズとしては、文章の行間が光って見える学習障害のひとつ「視覚ストレス症候群」、片頭痛の前兆として出現することのある「閃輝(せんき)暗点」や、片頭痛患者でなくても(健常者でも)目をつぶったときなどに光の点や渦などが見える「光視(こうし)症」など、さまざまな種類がある。

国による支援から除外されている
目の高次脳機能障害

 眼球使用困難症には、「高次脳機能障害」が原因で起きるものもある。高次脳機能障害とは、ケガや病気による脳損傷に伴う認知行動障害で、身体のいろいろな場所に影響が及ぶが、「視覚の高次脳機能」の問題は、国による相談支援の対象から除外されており、患者は孤立無援の状況にある。

「私の患者さんには、不注意なオートバイにぶつけられて転倒、入院した後、ぼやけてものが見えないようになり、我慢して見ようとすると、めまいやふらつきが生じ、光にも弱くなって目を開けていられない状態で、仕事もできなくなって、受診してきた方がいます。

 遠方にも近方にもピントが合いにくい状態なので、見ている対象物の距離に従って、目の位置と焦点を調節する脳の機能が故障しているものと推定されますが、それをうまく証明する検査法がありません。

 推定はできても、脳は直接打撲していないことや、画像診断では異常が見られないことから、彼女の訴えが、疑いのない真実だと誰もが認めてくれる状態にないのです。

 加害者や保険会社はそれを理由に、目の症状は救済対象として認めないばかりか、保険金目当ての詐病ではないかと、疑っているふしもあるようです」

 さらに、頭頚部に直接打撲がなくとも、異常な外力やねじれが生じた結果、その上方に位置する頭頸部が損傷し、視覚の高次脳機能障害になることもあるし、転んだ直後には大丈夫そうに見えても、脳脊髄液が漏れることで視覚異常と記憶障害が起きてくることもある。

「神経の微細な損傷はMRIに写らないため、前者の場合、病気と認められない現状があります。後者については、髄液が漏れていること(脳脊髄液減少症)ことが分かれば、2016年から保険適用になったブラッドパッチ治療が受けられ、早期発見すれば一部の症状は劇的に回復しますが、この病気を発見したグループの見解に反対する医師も少なからずいたため、保険適用になるまでは非常な苦労がありました」