日本最大手のアイスクリームチェーン「サーティーワンアイスクリーム」。よく知られているブランドであり、一度は食べたことがあるという人は多いだろう。そのサーティーワンが今月26日、新興チェーンである「コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン」を、不正競争防止法違反であるとして東京地裁に訴えた。

 その理由は何か――。それは「キャッチコピー」である。

 サーティーワンのキャッチコピーは、『We make people happy』。「アイスクリームを通じて、お客様に幸せをお届けする」をモットーに1973年の創業時からこのコピーを使用してきたという。しかし一方で、2005年にコールド・ストーンが日本に初進出を果たす。そのキャッチコピーは、『Make People Happy』。これは米国の創業者夫妻が1988年の創業時に述べた「We will make people happy」がもとになっており、その後これを同社の経営理念として掲げているという。

 これに対し、サーティーワン側は「キャッチコピーが酷似しており、それによって当社の顧客吸引力効果が薄まり、不利益を被る。これは不正競争防止法に抵触する」と指摘。「コールド・ストーン側に使用中止を申し入れたが誠意ある回答が得られなかった」として提訴に踏み切ったようだ。

規定内容が漠然
「不正競争防止法」

 今回問題になっている「不正競争防止法」について少し説明しよう。不正競争防止法という法律は一般の人にはあまり馴染みがないかもしれない。これは幅広い分野が対象となっており、現在もその対象が拡大している法律である。「模倣品」や「商標や特許の悪用」だけではなく、いま話題になっている「コピープロテクション(ソフトウエアやデータなどをユーザー側にコピーされないようにした仕組み)」、さらには「営業秘密の侵害」、目新しいところでは「外国公務員に対する賄賂」なども規制の対象になっており、そういう意味でも範囲が広い法律であるといえる。

 この法律の第1条には、

 「この法律は、事業者間の公正な競争およびこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止および不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、以って国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」

と書かれている。しかしよく考えてみると、とてもわかりにくい条文である。「公正な競争の確保」だけなら理解できるが、「これに関する国際約束の的確な実施」という分かりづらい側面がある。