福岡県──豪雨や酷暑に翻弄された撮影の旅

 本書の企画が正式にスタートしたのは、2019年ではあるが改元前の平成31年3月だった。企画当初は、すでに平成時代に撮影していた写真も流用すればよいと編集者に言われていたが、「せっかくだから新しい写真は令和になってから撮影したものにしよう」と私が提案した。

 令和に改元されたのが5月1日のこと。それから3ヵ月間で北海道から沖縄まで全国47都道府県206地点をまわることになったわけだが(実際に撮影した地点はもっと多い)、それがいかに無謀な試みなのかを悟ったのは、すでに残り1ヵ月を切ったころであった。

 仕事の都合で九州は1回でまわりきれず、5月と8月の2回に分けて訪れることになった。5月にもかかわらず30度に達した福岡市内では、明治通りの西新交差点が撮影ポイントだった。かつてこの通りには西鉄市内線の路面電車が走っていたが、1979(昭和54)年に廃止されている。

 新旧写真をくらべると、明治通りが拡幅されたことで、まったく雰囲気が変わっていることがわかる。片や大都会、片や地方都市という印象だ。だが、よく見ると通りの向こうにある佐賀銀行の建物が昔のままではないか! 本来ならば、同じアングルで撮影したいのだが、そのためには拡幅された道路の真ん中に立つしかなく、車にはねられるのが必定なのであきらめた。

六本木、京都、福岡…昭和から令和への「定点写真」に見る都市の移ろい福岡市の明治通りの西新交差点付近 撮影:1973(昭和48)年7月
六本木、京都、福岡…昭和から令和への「定点写真」に見る都市の移ろい福岡市の明治通りの西新交差点付近 撮影:2019(令和元)年5月