ハイテクを駆使した代替肉の開発競争にはこれまで2つのグループがあった。一つは、植物からハンバーガーなどの肉状製品を作るビヨンド・ミートやガーデインといった企業で、もう一つは研究室で動物の細胞から肉を培養しようとしているメンフィス・ミーツなどだ。そこに異なる手法を採用する新たな一団が登場した。プライム・ルーツやエマジー・フード、エコバティブ・デザインといった新興企業は、菌類――きのこ、かび、酵母を含む生物群――から代替肉を開発している。これらの企業によると、植物由来の製品は、本物の肉のような見た目と歯ごたえを確保するため加熱や加圧が必要だが、それに比べて、菌類由来のタンパク質は原料がはっきりしていて、それほど加工する必要もない。その上、菌類は研究室の大型発酵槽で培養できるため、土地やエネルギー、水の使用という意味では、研究室で培養した肉と潜在的な効率は変わらないと考えられる。