“卒論”を完遂する力で
学生の主体性を見極めよ

 卒論を書くということは、広い意味で、「主体性」を発揮しなければならない体験だ。というのは、テーマの選定や、思考の組み立てには「自分の意志や判断」が不可欠であるし、自ら進んで書き上げようとする意志なしには、最後まで書き通すことはできない。つまり、完遂に向けての「当人の圧倒的な当事者意識」が必要であり、幾多の困難を乗り越え、やり遂げるプロセスにおいては、まさに主体性が試される。

 ひとまず完成までこぎつければ、主体性を発揮することができた、というかけがえのない成功体験となる。企業が採用時の面接で、卒論の内容について掘り下げて質問するならば、学生もその重要性を認識するだろうし、企業側はその受け答えの内容から、学生の持つ「主体性」の度合いを把握することができるだろう。

 少なくとも、ボランティアに参加したかどうかで主体性を測るよりは、その学生の資質についてよりよく知ることができるはずだし、きっとそれを測ることができるくらいの“知性”は企業側にもあるはずだ。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)