また、確定拠出年金にあっても、不適切な商品(「ターゲット・イヤー・ファンド」や「アクティブ・ファンド」など)に加入者を誘導しようとする場合が多いとも聞く。

 大事なことは、十分な専門知識があって、金融機関の利害から独立した講師を使って、さらに内容を十分チェックしながら社員のマネー研修を行うことだ。

 以下に、適切な講師の条件を挙げる。

(1)金融機関ないし金融機関グループ会社の社員ではないこと
(2)生命保険を売ったり、証券仲介業に関わったりしているFP(ファイナンシャルプランナー)・税理士等ではないこと
(3)金融商品について金融機関職員以上の知識を持っていること(多くのFPはこれを満たさない)
(4)各種の年金、社会保障制度について十分な知識を持っていること
(5)ライフプラン、不動産購入の適否などについて適切な知識を持っていること

 基本的には、独立したFPやコンサルタントなどの専門家で、かつ金融商品の販売から利益を得ておらず、十分な知識がある人を探すことになる。全ての分野について、一人で詳しくカバーできているケースは少ないだろうから、ライフプランと資産運用、社会保障制度と年金といった具合に、専門分野を分けて複数の講師を使って研修を組み立てる手もある。

 なお、先の原則に照らすと、筆者自身は対面営業の会社ではないが証券会社に勤めているサラリーマンでもあるので、この種の研修の講師には不適当だ。どうしてもと頼まれたら引き受けないでもないが、「不適当だ」と述べておくのがフェアだろう(適切な講師は少数だが、他の講師をご紹介することはできる)。

 いずれにせよ社員のお金を健康に保つためには、適切なマネー研修が必要だ。健康保険組合が、加入者に健康知識を啓蒙するような意義があると理解してもらいたい。そして、くれぐれも取引金融機関に丸投げしないことが大切だ。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)