キーパーソンを見つけてアプローチする

 通常の商談や販売現場などにおいては、グループのお客さまを相手にするときは、キーパーソンを見つけてアプローチします。この手法を、怒りをぶつけられる現場でも活用するのです。

 言うまでもなく、クレームでは、「当事者」がキーパーソンです。商品やサービスを購入したのが奥さまであれば、本来は奥さまと話すのが一番早く解決できます。

 ただし、「ご主人が奥さまのためにわざわざ前面に出ている」というケースもあります。こうしたときは、基本的にご主人と話をして、細かな経緯については奥さまに確認するのがいいでしょう。

 もしご主人が怒鳴り終わった後に、奥さまが怒鳴り始めたら、「まずご主人とお話しさせてください」とはっきり伝えましょう。

 それでも、奥さまが「ひどい目に遭ったのは私です」と訴えてくるようなら、「事情はその都度奥さまに確認させていただきます」と伝えて、主たる話は1人としかしないことを、毅然とした態度で示してださい。

 逆に「話下手な夫の代わりに、交渉役として妻も来た」というケースであれば、妻をキーパーソンとみなしてもいいでしょう。また、どちらがキーパーソンか判断のつかない場合は、立場が強そうな方のほうをキーパーソンに決めて対応してください。

 個人的な経験から言うと、夫が妻よりいい服を着ていると、夫のほうが立場が強く、妻が夫に「あんた、言いなさいよ」とせっつくような関係だと、妻のほうが立場の強い可能性が高いようです。