テレビドラマ「おっさんずラブ」「あなたの番です」に主演した俳優の田中圭。以前からいい役者だなと思っていたが、まさか主役を演じて番組の顔になり、世間でスターとして遇されるような役者になるとは思ってもいなかった。
かねてより美しさと繊細な演技で確固たる存在感を示していたものの主役級ではなかった高橋一生もまた、「民王」から「おんな城主 直虎」へと瞬く間にテレビや映画でひっぱりだこのスターとなった。
はたまた、宝塚歌劇では群を抜くスピード出世で男役のトップスターに上り詰めたものの、引退して女優に転身してからしばらく低迷気味だった天海祐希は、「離婚弁護士」の頼もしいハンサムウーマンぶりで脚光を浴び、以後、“理想の上司”的な役柄を中心に、人気・実力とも安定したスターの座をほしいままにしている。
ほかにも、「孤独のグルメ」の松重豊、「半沢直樹」の銀行員役でブレークした滝藤賢一など、枚挙にいとまがないほど、芸能界には“遅咲きのスター”がたくさんいる。
さて、まずはスターそのものについてもう少し考えてみたい(以下はあくまで私見であり、芸能の専門家の解釈とは違うかもしれないが、ご了承いただきたい)。
“生まれつきスター”以外が
スターになるパターンとは?
(1)王道スター
デビュー前から、「この人はすごい」「まさに主役を張るために生まれてきた」というようなオーラをまとっている。誰が見てもスターであり、その輝きをいや増すように育てられる。
古くは石原裕次郎、少し前なら、金城武や山Pこと、山下智久。デビュー間もない頃から主役を演じた深田恭子や、今なら朝の連続テレビ小説や映画「キングダム」で活躍し、今度は大河ドラマの主役を演じる吉沢亮などがこのカテゴリーに入るだろうか。
(2)「知る人ぞ知る」から日の当たる道へ
実力もあり、周囲からは「あいつはいい」と定評もあるものの、一般社会ではあまり目立っていなかった人が、ひょんなことからいきなりスターになるケースがある。
舞台などで着実に地位を固め、「半沢直樹」でお茶の間にも知られるようになり、その後大活躍している吉田鋼太郎や、テレビドラマの端役での軽妙なかけあいの演技が中井貴一の目に留まり、多様な役に使われるようになったことから人気に火がついた吉田羊。業界内での評価は高かったが、朝ドラ「カーネーション」の主役が転機になった尾野真千子や、「シネフィル」御用達の映画監督たちには早くから使われていた西島秀俊も、スターとして認められるようになるまでには時間がかかったという印象だ。
(3)時代の変化が当人のキャラクターにマッチ
当人の持つキャラクターが、時代の要請にマッチするというケースもある。つまり、時代が違えば、もしかしたら、ビッグ・スターにはなっていないのでは、という人だ。「半分、青い。」で優しすぎる男“マアくん”を演じた中村倫也や、ダメ男役がよく似合う前述の田中圭、妖艶ともいえる高橋一生、“理想の女性上司”の天海祐希などもこのカテゴリーに入るだろう。