病院や街のクリニックで診察受付や会計、診療報酬請求など、さまざまな業務をこなす「医療事務職員」。小さなクリニックは女性事務職員が多く、病で弱っているときに、受付の女性がやさしく迎えてくれてホッとした、という経験がある人もいるだろう。患者に安心感を与える存在だが、ひとたび働く側に回るとなかなかシビアな現実が待っているという。(清談社 谷口京子)

待合室で怒鳴る
横柄な患者にへきえき

クリニックの受付風景
笑顔で受付業務をしてくれる医療事務職員。しかし、その仕事内容はなかなか過酷であるようだ Photo:PIXTA

 地域のクリニックには、毎日多くの患者が訪れる。医師よりも先に患者と接する受付業務も、医療事務の重要な仕事だ。消化器科内科クリニックに3年ほど勤務していた春菜さん(26歳・仮名)は「待合室特有の空気感」があると話す。

「待合室はみんながピリピリしている空間なんです。スタッフ同士も忙しくてピリついているし、患者さんは具合が悪くてイライラ。『早くしろよ!』なんて怒鳴られるのは日常茶飯事。でも、騒ぐ人や横柄な態度を取る人に限って軽度の症状なんですよね。とにかく待合室は空気が悪かった記憶しかないです」

 また、都内の皮膚科に4年間勤務している由美さん(29歳・仮名)は、受付業務の難しさをこう語る。

「うちのクリニックは予約制なのですが『予約してから来てください』と何度もお願いしても、予約をしてこない常連の患者さんがいます。完全予約制ではないので、受け付けることはできるのですが、そのあと『あと2時間後くらいに戻ってくるわ』と言ってすぐに出ていってしまうんです。ほかの患者さんもいるのに、自由に動かれるのは本当に困りますね」

 自由に動きまわる患者もいれば、予約した時間を1分でも過ぎると、すごいけんまくで受付に詰め寄ってくる患者もいるそう。診察時間が前後するのはどうしようもないのに、なかなか理解してもらえないと嘆く。

「受付で大きい声を出されても困るので、時間にこまかい患者さんのカルテには『予約時間厳守』という付箋を貼って、スタッフ同士で共有しています」