また、すでに核兵器を保有する北朝鮮の金正恩体制とのすり合わせもしなければならない。さらに国際情勢や韓国世論の影響もある。韓国の左派陣営が南北統一を目指すことは口で言うほど容易なことではない。

大きな格差が存在する
韓国と北朝鮮経済の状況

 韓国と北朝鮮の経済格差はかなり大きい。それは、1人当たりGDP(国内総生産)の比較から確認できる。2016年、韓国の1人当たりGDPは2万7600ドル程度だった。これに対して、北朝鮮の1人当たりGDPは1300ドル程度と推計されている。北朝鮮の平均的な所得は韓国の5%にも満たない。経済の専門家の中には、南北の所得格差は国際機関などが推計しているよりも深刻だと考える人もいるようだ。

 南北が統一する場合、韓国は北朝鮮への支援を大規模に行わなければならないだろう。それを考えるにあたって、北朝鮮、韓国、および世界の自動車事情を考えるとよいだろう。今なお、北朝鮮では“木炭自動車”が使われている。その一方、世界の自動車業界は環境保護などを理由に、電気自動車(EV)の開発に注力している。この分野で韓国の自動車メーカーの対応は出遅れてしまっている。

 南北統一を本当に目指すと仮定すると、韓国は自国産業の競争力を引き上げつつ、北朝鮮の工業化の進展を経済的に支援しなければならない。具体的には、韓国の官・民が巨額の資金を拠出し、北朝鮮で生産設備や社会インフラの整備などを進めることが考えられる。

 それは、韓国の財政支出を増大させるだろう。加えて、韓国では少子化、高齢化、人口の減少が進行し、社会保障関係費の増加が見込まれている。南北統一が進む場合、韓国は財源の乏しい北朝鮮の社会保障制度の整備・拡充のための費用も負担しなければならない。

 1990年代、北朝鮮は旧ソ連の崩壊、急速な農地開発による耕作地の荒廃に直面した。軍事拡張も重なり、北朝鮮経済は困窮し平均寿命が大幅に落ち込んだ。南北統一を目指す場合、韓国は公衆衛生、年金、医療などの財源を拠出して北朝鮮の生活水準向上を支えなければならなくなるだろう。