個別企業の決算発表も一段落した今、企業業績の全体像をランキングを通してお伝えする。今回は全体の利益水準が落ち込む中で、増益を続ける企業を一挙掲載する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

全体の営業利益が前期比16%減少
消費税率引き上げも影を落とす

 業績面からも、景気の足取りが重くなりつつあることがはっきりしてきた。

 業績予想を公表している上場企業(決算期変更会社を除く)について、前期(2018年10月期~19年9月期)の営業利益の合計額に対する今期(19年10月期~20年9月期)の予想営業利益の合計額の比率は約84%。

 つまり、営業利益は前期比で16%減少する見通しだ。米中貿易摩擦などにより先行き不透明感が高まり、減速感を強めている景気動向を反映している。消費税率引き上げも予想利益に影を落としていることは確実である。

 ただ、全体としては減益基調であっても、個別に見れば増益の企業はある。そこで、今期の予想営業利益の前期に対する増加率が5%以上の企業について、増益率の高い順に並べてみた。

*対象決算期は実績期が2018年10月期~19年9月期。予想期がその1年後。実績期の営業利益が10億円以上で、予想増益率が5%以上の企業を対象とし、予想増益率の高い順に並べた。なお、対象決算期で変則決算の企業は除いた。予想PERは11月15日終値ベース。

 今回、トップの住友理工は自動車用防振ゴムの大手である。国内向けに防振用ゴムの需要が伸びた。加えて、19年3月期に欧州子会社の減損72億円を計上したために、営業利益が大きく落ち込んだことの反動もあり、20年3月期の営業利益は前期比約7倍の80億円に増える見通しだ。

 2位に入ったのは石油資源開発。カナダで生産するオイルサンドを希釈したビチューメンの採算が安定するなど、海外事業が上向いていることが業績向上に寄与しているようだ。20年3月期の営業利益は117億円と前期に比べ約5倍となり、配当を年40円から50円に増やす見込みである。

 大手では、東芝が4位にランクインした。人員削減など合理化による採算改善が利益水準を押し上げている。6位の日本郵船は自動車船、エネルギー船事業の損益好転で大きく営業利益を伸ばした。

 投資対象としての判断基準用に、予想PER(株価収益率)も掲載した。銘柄選別の参考にしてほしい。