ほとんどの上場企業は本決算発表後に次の通期決算の業績予想を発表する。その後、業績が一定の基準を超えて予想を上回ったり下回ったりしそうな場合は、予想を修正しなければならない。連載「ダイヤモンド 決算報」の「19秋」企業業績・全体像編の第2回では、企業業績が曲がり角を迎える中で業績を上方修正した企業を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
売上高は10%以上、利益項目は30%以上
変動する見込みの場合、業績予想を修正する
上場企業は決算発表時に限らず、一定の基準に従って業績予想を修正しなければならない。その基準は以下のようになっている。
売上高で当初予想より10%以上増減する見込みになるか、営業損益、経常損益、当期純損益で当初予想より30%以上増減する見込みの場合は、業績予想を修正して発表しなければならない。
もちろん、上方修正もあれば下方修正もある。今回はまず、上方修正した企業を取り上げる。今期(2019年10月期~20年9月期)の予想営業利益の期初予想を上方修正した企業を、その修正率の高い順に並べた。
上方修正率1位は、クリナップ。主力商品であるシステムキッチンの販売好調が業績を上方修正させた。20年3月期の営業利益は、期初予想の約2.2倍の24億5000万円となり、19年3月期の4億6500万円の営業赤字から急回復する。
2位は、営業増益率ランキングでも2位に入った石油資源開発だ。オイルサンドを希釈したビチューメンの採算安定が上方修正につながった。20年3月期の営業利益は、期初予想の2倍強の117億3500万円に達する見通しだ。
3位に入った中国塗料も、クリナップ同様に前期の営業赤字からの回復組。19年3月期は、原油高による原材料高で損益が圧迫され、営業損益は5億8800万円の赤字だった。20年3月期は、原材料価格の低下と船舶用塗料の好調で、営業利益は30億円となる見込み。期初予想である15億円の2倍である。
ただ、実は上方修正率ランキング上位50社まで視野を広げると、そのうち10社が今期の営業利益が前期に比べて減少する見通しだ。こうした点にも企業業績が曲がり角であることが見て取れる。