相手が学生でも社会人でも、割引現在価値を正しく理解してもらうのは大変だが、高校の数学の先生と協力して、まずはこの点から理解してもらう努力が必要だろう。省庁をまたぐ交渉は一担当者には荷が重いだろうから、金融庁の上司には、文部科学省との協調のアレンジを期待しなければなるまい。

 お金の計算問題が、毎年大学入試に出るようになれば、金融知識の普及は飛躍的に進むはずだ。

売り手と買い手の利害が異なることもある
金融ビジネスに対する理解が重要

 もう一点、強調しておきたいのは、お金の運用に関わる金融機関が「ビジネスをしている」ことの意味を伝えることの重要性だ。金融マンは、単に善意の相談相手ではないし、彼らの利益が顧客の利益を損なう場合がある現実を十分に伝えなければならない。現実の運用には、「市場のリスク」と同じくらい重要な「人間のリスク」がある。

 金融機関を敵視までしなくていいが、売り手と買い手の立場の違いは、金融のみではない消費者教育の一環として教えるべきだろう。幸い、金融の世界は目的と損得が明確なので、賢い消費者を育てるための題材にふさわしい。

 社会人に向けた金融教育も重要であることを思うと、NHKのEテレでお金の基礎を教える番組を持つことが望ましいように思うのだが、NHKを説得するのは大変だろうし、テレビ番組となると予算を確保するのも簡単ではないだろう。

 幸い、近年、YouTubeなどで動画を使って情報を届けることが容易になった。金融庁に採用される投資教育担当者には、ぜひ人気の出る投資教育ユーチューバーになってもらいたい。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

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