味わいに影響を与える6つの要素とは?

「自分好みの最高の1杯」を探す上で、避けては通れないのが、「自分好みの味わい」を知ることではないでしょうか。

しかし、無限に存在するコーヒーの味わいから自分好みの味わいを知る、という行為は非常にハードルが高いと思います。

コーヒーの味わいの表現は多岐にわたります。例えば、フルーツのような味わいがある、花のような香りがある、チョコレートのような味わいがある、などフレーバーの表現は多様であり、その表現は文化的な影響を受けやすく、絶対的な正解がないとも言えます。

したがって、自分好みの味わいを知るには、まず「味わいを形作る主な要素」を学ぶことが大切です。

コーヒーの味わいに影響を与えるのは、次の6つの要素です。この6つをどう調整していくかは『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』で詳しく解説していますので、ここでは大まかに紹介しておきます。なお、イメージしやすいように、それぞれの要素を人にたとえて説明してみます。

バリスタが伝授! 自分好みの<br />美味しいコーヒーを淹れる6つのポイント

(1)【生産国:骨格】
生産国は人間でたとえるなら、骨格です。味わいを形作る大前提であることを覚えておいてください。骨格による体のサイズの大小と同じように、コーヒーも生産国次第で大きく味わいの傾向が変わります。

(2)【品種:人種】
品種は人間でたとえるなら、人種です。同じ人間だけれども、人種によって見た目も変わるように、コーヒーも、同じ生産国であっても、品種次第で味わいの傾向は劇的に変わります。

(3)【生産処理:性別】
生産処理を人間でたとえるなら、性別でしょう。性別次第で体の作りも決まるように、生産処理でコーヒーの味わいの傾向も大きく変わります。

(4)【焙煎:体型】
焙煎は人間でたとえるなら、体型です。体型は遺伝的な要素もありますが、基本的に自分の意思で変えることが可能です。体型と同じように、焙煎も浅く煎るか、深く煎るか選択することによって味わいが大きく変わります。

(5)【粒度:化粧・髪型】
粒度は人間でたとえるなら、化粧や髪型に近いイメージです。化粧や髪型がその人に合っている場合、見違えるように印象は変わります。プロに化粧やヘアメイクをしてもらうと、素材は同じでも印象がガラリと変わるのと同じです。

(6)【抽出:アクセサリー(腕時計)】
抽出は人間でたとえるなら、アクセサリーや腕時計だと思ってください。素敵なアクセサリーや腕時計がその人の印象をさらに良好にしてくれるように、抽出の出来不出来がそのコーヒーの印象に影響を与えます。

前半の(1)~(3)の「骨格」「人種」「性別」は生まれ持ったものですが、後半の(4)~(6)の「体型」「化粧・髪型」「アクセサリー(腕時計)」は自分の意思で変えることができます。

人間と同じように、コーヒーも(1)~(3)の「生産国」「品種」「生産処理」の3つは、そもそも自分の意思でコントロールすることができない味わいで、(4)~(6)の「焙煎」「粒度」「抽出」の3つは、自分の意思でコントロールできる要素だと覚えておいてください。

すなわち、自分好みの味わいを探し当て、自分好みのコーヒーを抽出するためには、

【(1)(2)(3)の組み合わせ】→大まかな好みの味わいを知る
【(4)(5)(6)の組み合わせ】→自分好みのコーヒーを抽出する

以上のフローを理解することが、「世界一美味しい1杯」を飲むために重要なのです。