老後の資産運用、でもダマされないで!

 老後生活を豊かに送るためには、2000万円が必要と大変な話題になり、不安に感じる人が続出しました。豊かな老後のために、現役時代から「自助努力」をした方が良いことは間違いないでしょう。

 また、退職金についても「運用をしながら引き出していく」ことを考えてみる必要があります。95歳まで生きる人の割合は、4人に1人という時代が近づいており、老後の生活費の必要額が増加していくからです。

 「お金儲け、しなきゃ」と焦った時に、その不安な心理からダマされる人々が出てしまいます。

 「あなただけに」「今がチャンス」「みんな始めていますよ」などと、言葉巧みにウマい話につられてはいけません。資産運用などの知識をきちんと知らない「情報弱者」は、良い「カモ」になってしまうのです。

 現在でも明確な法令違反でなくても、「隠れたコスト」を説明せずに販売にチカラを入れる金融機関はなくなりません。知識がないと販売者の「カモ」にされてしまいます。

 もっと残念なケースは「カモ」にされていることにすら、気づいていない人が多いということなのです。

 今までお話ししてきた通り、私は17年間、大手メガバンクの行員でした。その後大手米国系証券会社と大手欧州系信託銀行で合計約26年間勤務をしました。勤務している間には大っぴらには「ホンネでは語れない」事柄がありました。

 しかし、2015年に独立して「販売者」を辞めました。

 「金融商品を販売しない」「系列がない独立系」でアドバイス専業の投資助言業者になったのです。今ならば、投資家にとって本当に役立つ「ホンネの資産運用を言ってしまおう」と思ったのです。金融機関のセールスの手口や、目的がわかることで、「ダマされた!」と後悔する人を1人でも減らしたいと思っています。

 金融機関にとっては「それ、話されると困るんだけど……」というカラクリを、皆様にはお伝えいたします。

安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役
CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師
三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。WEBサイト https://ria-japan.co.jp/