自民と一線を画した基本哲学や政策を明らかにしていく。それこそが、自民党の対抗勢力としての民主党の信用を確立するための、大事な要素です。政権を維持しようとしたら、本来はそれがないとダメ。自民党と同じだったら、意味がない。

――では、民主党は何をアピールすればよいのでしょうか? 今、中曽根さんが首相を務められているとしたら、何を重視しますか?

中曽根康弘氏

 やはり外交・安全保障問題でしょうね。ここには自民党と同じ点もあれば相違点もあり、これを明確にする。外交では、特に対米・対中政策が重要になります。民主党は旧社会党系の勢力を抱えていることもあり、これが徹底していない。

「政権党だから自民党と違うところを見せようと」という気持ちが強いが、基本が乱れて外交や安全保障に対する取り組みには、大きな綻びが見えていました。

 たとえば、対米関係です。普天間基地の移設については、「外国だ」「県外だ」と議論が二転三転した結果、結局は現行案に戻ってしまった。移設先の立地や工法についても、「杭打ち方式」から自民党時代の「埋め立て方式」へと帰着している。

迷ったときは国策の
継続的基本線に従うべき

 そもそも外交には、国策が一貫して逸脱してはならない「一定の幅」があります。それを逸脱すると、その影響が対外関係全般に波及してきて、両国の関係を破壊する危険性さえあるので、本当に難しいものなのです。

 しかし民主党は、「これまでと違うところを見せよう」とするあまり、かえって混乱を招いてしまった。米国にしてみれば、これは明らかな違約。民主党は、あえてそれをやらざるを得ないという苦しい状況に陥っています。

 野党が政権をとると、野党時代に言っていたことや、現実から遊離したことをあえて言わなければならない状況も出てくるもの。しかし、政権をとってみると、いずれはそれが無理であることがわかってくるものです。そのときは、国策の継続的基本線に従うことこそ肝要です。