やりがい搾取が
起こりやすい業界

 そんな一部の先輩講師の反面教師ぶりを見た若手たちが、やる気をそがれてしまうのも無理はない。

 また塾や学校など教育業界では、サービス残業が常態化してしまっている。求人情報サイト大手「ディップ」の調査では、塾講師の平均時給は1395円と一見高額だが、たとえば授業の前後に予習復習をしても、その時間帯は時給が発生しないケースがほとんどだ。

「この業界では、いわゆる“やりがい搾取”のようなことが起きやすい。実際に私が以前勤めていた塾では、何日も家に帰ることができない教室長とかを見てきました。講師にもそういう人はいましたね。学生のバイト講師に準管理職のようなポストを与えて、社員と同じように膨大な量の仕事をふり、責任感を持たせて酷使するのです。一昔前ならそれでもやりがいを感じる学生もいましたが、最近は時給に換算したらコスパが悪いということで、塾講師の仕事は敬遠されがちです。そうなれば当然、人手不足にもなるでしょう」

 学習塾によっては、講師同士のヒエラルキーの問題もあるという。

「理系の教科を教えられる人は少ないため、特に大手の塾では算数や数学を教えられる講師が偉くて、社会や国語を教える文系の講師は立場が低いという実情もあるようです。そのため、中には算数・数学の講師は掃除をしなくてよいというような暗黙のルールが存在する塾もありました」

 旧態依然とした悪習が残る学習塾の淘汰は、日本の教育に幸・不幸、どちらをもたらすのだろうか。