どうすればよかったのかの答えはあるか

 第2回公判が開かれた12日は被告人質問が行われ、熊沢被告は「息子のアパートに行き、ごみの片付けや食事を一緒にするなど、コミュニケーションを取ろうとした。アニメの勉強をしていた時、コミケに出品するときは売り子として手伝った」と述べた。

 事件直前の英一郎さんの様子については「息子はものすごい形相で『殺してやる』と叫びながら殴ったり蹴ったりして、本当に殺されると思った。土下座してその場は収まったが、震えるほどの恐怖感だった」と振り返った。

 検察官からなぜ警察や行政に相談しなかったのかを問われると「警察に相談しても面倒を見続けるのは私で、警察ざたにすると関係が悪くなる。主治医には相談すべきだった」と述べた。

 犯行当時の状況については「1階に行くとゲームをしているはずの息子がこぶしを握って立っていた。すごい形相で『殺すぞ』と言われ、以前に受けた暴行を思い出し、殺されると直感した。反射的に包丁を取りに行き、胸や首を刺した」と説明した。

 弁護人の問いには「どうすれば防げたのか。毎日、反省と後悔の日々を送っている。できるだけ寄り添ってきたつもりだが、かわいそうな人生を送らせてしまった。今は冥福を祈るしかできない」と言葉に詰まり、目に涙を浮かべた。

 川崎市の事件(川崎市の登戸駅付近の路上で発生した通り魔事件)については「容疑者が息子と境遇が似ていると思った」としながら「川崎の事件があったからといって、息子が事件を起こすとは考えていなかった」とし、逮捕後とは違う見解を示した。

 ネットでは、やはり「上級国民」への妬(ねた)みからか「息子をモンスターに育てたのは御自身」「上級国民、ザマー」などという批判的な投稿も見られたが、少数だった。

 やはり「無差別殺人を防いだ」「娘を亡くし、それでも原因となったダメ息子に向き合った」「辛(つら)かっただろうに」「罰する意味ある?」など擁護派が多かったようだ。

 今月は通り魔殺人やわいせつ目的殺人など、誰が見ても不快にしか感じられない凶悪事件の判決が相次いだ。しかし、一般的な目で見るといずれも軽い量刑だったように思う。

 一方で、老老介護の末の無理心中(刑法では殺人事件に分類)や、こうした家庭内暴力に耐えかねた親族間の殺人など、胸が痛む事件も多い。