6月末の欧州連合(EU)首脳会議で、スペインの銀行支援に関する合意がなされたため、金融市場は小康状態を続けてきた。しかし、ここにきて警戒が再び強まっている。
このため、スペインやギリシャからの資金流出が増え、他方で、安全資産とみなされる主要国の債券への資金流入が増加している。
スペイン地方政府の財政悪化の懸念から、同国の10年物国債利回りは、ユーロ導入後の最高水準になった。ギリシャ支援の不透明感もあり、リスク回避が強まっている。
他方で、アメリカ10年物国債利回りは、一時1.39%と過去最低を更新した。ドイツの2年債利回りもマイナス0.06%と12営業日連続でマイナスになった。
日本への資金流入も続いている。以下では、日本の国際収支における証券投資の動向を見ることによって、この動向をあとづけておこう。
2011年に増加した
短期債の対内投資
2011年における資本収支のうち、投資収支の内訳は、【図表1】に示すとおりである。
以下では、このうちの証券投資の動向を見よう。
証券投資は、対外投資と対内投資、中長期債と短期債の区別がなされる。ここで、「対外投資」とは、居住者による非居住者発行証券への投資であり、「対内投資」とは、非居住者による居住者発行証券への投資である。この統計において、プラスは資本の流入(対外証券投資の減少、または対内証券投資の増加)を示し、マイナスは資本の流出(対外証券投資の増加、または対内証券投資の減少)を示す。短期債は期間1年以下の債券である。