「子ども向け」だが
大人もうなる読み応えを追求

「原文から訳している以上、ニュアンスが落ちたり、意味が変容したりというのはどうしても起きてしまいます。そのなかでも極力正確さを維持しながら、子どもでも理解しやすい表現にするというのは、非常に大変でした。僕は法律に関しては素人なので、監修を担当してくださった専門家の皆さまと、頻繁に慎重な検討を重ねましたよ。でも、専門的に勉強していないからこそ、『子ども向けに読みやすくした六法を作ろう』なんていうむちゃなことを思いつくことができたのかもしれません(笑)」

 法の専門家はもちろん、東京都行政書士会広報部の協力で、本書のメインターゲットである10~15歳の子どもたちからも意見をもらったという。法律・教育の専門家からは表現について『もっとかみ砕いたほうが良い』『思い切って全部マンガにしてみては?』など、より分かりやすい表現を勧められたが、山崎さんは必要以上に難易度を下げることはしなかった。

「第一に、子ども向けだからといって、『子ども扱い』をしないように注意しました。子どもの尊厳を傷つけないためというのもありますし、やさしすぎる内容では興味を持ってもらえないと思ったからです。子どもは大人の世界や社会に憧れがあるので、大人もうなるような読み応えのある内容にすることで、子どもが手に取りたくなる本を目指しました」

 内容のレベルは下げず、しかし理解しやすさは損なわない。この絶妙なバランスこそが、子どもの興味を刺激するのだ。