1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で18年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。

「隣の同僚はライバル」社内競争が激しすぎる会社で起きた悲劇とは?Photo: Adobe Stock

【悩み】職場の若手社員の減少により、「若手社員同士を競わせる」ことができません。

 どの会社も採用が少なくなり、入社した社員の「よきライバル」として競わせたい人間が同じレイヤーにいない状況が多く生まれています。

 しかし、社内にライバルがいないのは別に悪いことではありません。「社外」、つまり「市場」に目を向けるきっかけになるからです。

 たしかに、近くに生身のライバルがいると燃えるもの。「こいつに負けまい」という踏ん張りも生まれます。

 しかし、下手にライバルばかりを意識すると、「ライバルに勝った途端に成長が止まる」「ライバルに負けた途端にモチベーションを失う」といったリスクも大きくなります。

 さらにお互いを「研鑽し合うよきライバル」ではなく、「業績を争う敵」と見なし、「自分のノウハウを同僚と共有したがらない」「同僚のいいところを認めない」という副作用が生まれることもあります。

 社内ライバルの存在は「諸刃の剣」なのです。

 ある保険会社の福岡支店で起きた話です。東京支店から異動で、優秀な営業マンがやってきました。福岡支店の営業マンとは、提案書の質がまるで違う。そこで支店長は、「提案が通らなくて困っているメンバーのために、君の素晴らしい提案書を見せてあげてくれないか」とお願いしました。

 すると彼は、「嫌です。なんで敵に塩を送らなければいけないんですか」と、きっぱり断りました。