画面の中での専門的な努力は、対戦にダイレクトに反映します。それに対して画面の外での工夫や努力が、どの程度実力や成績に反映するのかは誰にもわかりません。実際スランプ以前の僕は、「画面の中のこと以外」にはまったく興味がありませんでした。
正直いって大半は、小さなことだろうとは思います。でも僕の戦っている環境ではその「小さな差」がとても大切なのです。
例えば試合には、ダッシュして心拍数を上げてから臨みます。試合では緊張して心拍数が上がってしまうので、平常心でプレイできなくなる可能性が高くなります。だから、先回りして人為的にその状態を作り本番に備えるのです。
また練習環境と比べてモニターの高さが高い大会では、目線がいつもと変わらないよう、カバンをざぶとん代わりに使ってイスの高さを上げ、足元には段ボールを置いていました。
やれることを全部やった→メンタル安定
こうした「画面の外」の努力は一見ゲームに関係ないように見えるので「ときどは役に立つのかどうかわからないことをやっているな」と思う人もいるでしょう。
しかし、誰が見ても有効なことは、他の人だって、放っておいてもやるものです。有効性に確証がないからこそ、人が注目していないからこそチャンスがある。もしかすると、そこには大きな差をつけられる何かがあるかもしれない。そう考えれば僕にとって試してみない理由はありません。
そして何より「やれることを全部やった」充実感が、本当に大切な試合でのメンタルの安定につながるのです。