書店員が発表!<br />好奇心の扉が<br />ばばばばばっと<br />一気に開く本紀伊國屋書店梅田本店「出口の入口」

百々 そこからみんなもっと知りたくなる。この奥はどうなっているんだろうと好奇心をかきたてられる。本はそうでないといけない。

――本が本来あるべき姿。

百々 そう。でも、今は専門書と入門書しかない。

――『哲学と宗教全史』は専門書ですか? 入門書ですか?

百々 ダイジェスト。でも、めちゃ面白いし、わかりやすい。みんなこれだけ知っていたら十分。あの本を読んだら、好奇心の扉がばばばばばっと開かれる。それが一番いい本なんです。

――「好奇心の扉」。素敵な表現ですね。

百々 あの本には、好奇心の扉が無数にある。

――個人的には、参考文献だけ見てもわくわくしました。

百々 ですよね。参考文献で出口さんの著書に行っても、哲学に行っても、宗教に行っても、世界史に行ってもいい。とにかく次に何か知りたくなる。
世界は好奇心に満ちているし、知らないことだらけ。
一番まずいのは、知ろうとせず、その場に立ち止まっていることかもしれない。

――常に動いているのがベスト。

百々 あの本が一番素晴らしいのは、
好奇心や知性を動かそう、
止まってるものを動かそうとしている
原動力になるのがすごい
んです。

――すごい表現!「原動力」。

百々 普通は、専門書を買って、読んだら、あ~わかったから、終わり。

――閉じた世界。

百々 それは、いろいろなタコツボの中に入っただけ。たとえば、カントの一生がすべてわかるのは、それはそれですごいこと。
でも、人生の判断と決断でその叡智を活かせるかというときには、カントの人生だけを追随してもしかたがない。
そういう意味で、体系的にいろいろなことを知っているほうがいいし、知らなくてはいけない。
今、この世に生きている利点は、古典がいっぱいあって、いろいろな人生を追体験できること。
今現在が一番近い未来、けれどここから先は何もわからない。
その中でいろいろなジャンルに好奇心を持っていると、事件、事象、生命、地球などがどうやってできたんだろうと不思議に思う。
それが好奇心の扉を開くことにつながる。好奇心のエネルギーが人を前へ前へとつき動かす。ある本を読んでいて、他の本を読みたくなるというのが一番大事じゃないですか。

――僕は、『哲学と宗教全史』に携わって以来、あらゆるジャンルを買い込んで、好奇心の扉が開いたままでかなりヤバイです。

百々 そうでしょう。それも楽しいですよね。

――楽しいです。

百々 僕もそうなんです。読んでいない本をジャンル分けして、わかった気になる(笑)。それさえも楽しい。

――続きはまた次回、聞かせてください。
これまでの『哲学と宗教全史』の連載ダイジェストはこちらをご覧いただければと思います。