年々薄れる“スラムぶり”
近年は異臭も感じられない

 実際、西成のスラムぶりは、年を追うごとに薄れてきている。かつてなら年末年始といえば、アルコールの臭いが混じった吐しゃ物と排せつ物による強烈な異臭、いわゆる「西成の臭い」が、西成のランドマーク「旧あいりん労働福祉センター」(通称:センター)周辺の路上を中心に充満していたものだ。だが、ここ2、3年、異臭はほとんど感じられなくなった。

西成のランドマーク 旧あいりん労働福祉センター
西成のランドマーク 旧あいりん労働福祉センター

 その理由は、まずひとつにはホームレスの数が大幅に減ったことが大きい。

 事実、大阪市のホームレスの数は、1998(平成10)年には8660人、2003(平成15)年には6603人と徐々に減り続け、2017(平成29)年には1208人、2018(平成30)年には1023人と、1998年から2018年までの20年間で約8分の1にまで減少した(出所:大阪市『大阪市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画』平成31年3月)。

 この大阪市全体のホームレス数のうち、西成区は他の区と比べて突出している。古い資料だが、大阪市福祉局の調査によると、2012(平成24)年の大阪市全体のホームレス数は2179人、うち西成区が822人だ。全体の4割弱が西成区という計算になる。

 やや乱暴な推計にはなるが、先の大阪市の調査結果を踏まえると、2018年時点の大阪市のホームレス数1023人のうち、約4割の400人程度が西成区にいたとも考えられる。そこから2年経った2020年の現在では、大阪市による「あいりん日雇労働者等自立支援事業」をはじめ、ホームレス対策を目的とする施策が重点的に実施されたこともあり、その数はさらに減少したと推測される。

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