2019年の調査数値では
景気の現状は「良くない」
小宮コンサルタンツ代表
オリンピックイヤーとなる2020年がスタートしました。中東情勢の緊迫化で年初以来、原油価格が上昇し、日経平均株価が下がりました。中小企業経営者としては、このことも含めて景気動向が気になるところです。そこで現状を知るために、まず昨年の景気を数字で振り返ってみましょう。
日銀が全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに調査している「全国企業短期経済観測調査」、いわゆる「日銀短観」の2019年12月調査によると、大企業・製造業の業況判断が「0」まで落ちてしまいました。この調査は企業経営者に景況感を聞くもので、経営状態が「良い」「さほど良くない」「悪い」という3つの選択肢から1つを選んでもらい、「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いてDI(Diffusion Index)を算出します。
近年で最もこの数値が良かったのは、2017年12月調査の大企業・製造業の+25でした。これをピークにずるずると落ち始めて、19年9月調査では+5となり、12月はさらに落ちて0になりました。大企業・製造業の景気が急速に悪化していることが分かります。大企業・非製造業は12月調査でも+20(9月調査は+21)を保っているものの、全体として見れば、予断を許さない状況といえます。