米国は近年介入で
3連敗

 仮に今後米国とイランの対立が再燃、激化するとしてもそれが「第3次世界大戦」に発展するには、いずれかの大国がイランの側に付き、米国と戦うことが必要だ。だがそれは考えがたい。

 米国が恣意的にイラン核合意から離脱したことに対しては、英、仏、独、露、中の5カ国は当然、怒り、非難しているが、イランのために自国が存亡の危険を冒す理由は全くない。

 どの国もイランが核武装をすることは望んでいないから、核兵器を供与することはあり得ないだろう。

 ソレイマニ司令官の暗殺後、イランが報復攻撃を宣言し、トランプ大統領はそれに対する報復の構えを示した際、私は、双方のミサイル、航空攻撃による報復合戦がしばらくは続くが、米軍地上部隊がイランに侵攻し、アフガニスタン、イラクのように占領をする本格的戦争にはなるまい、と判断した。

 もしそうなればイランは大変な被害をうけるから戦争を避けたいのは当然だが、米国の方もアフガニスタン、イラク、シリアでこれまで3回も失敗を重ね、イランとの全面戦争ができる状況ではないからだ。

アフガニスタン、イラクの戦費が
財政危機の要因

 米国は2001年10月にアフガニスタン攻撃を始めて以来、すでに18年余りもそこで戦争を続け、約1万4000人が駐屯している。

 米軍の死者は2400人余り、負傷者は2万人を超え、これまでの戦費は約1兆ドルとされている。

 タリバン政権を倒し親米政権を擁立したが、その幹部たちは行政能力が低く、治安部隊の創設や復興のため、米国、日本など他国が供与した資金の横領や山分けに熱中して国民の不信を招き、兵士や警察官の脱走が多くなった。

 一方タリバン兵は武器を持ったまま故郷の村に戻ったり、パキスタンに避難したりしたが、消滅したわけではなかったから、タリバンは間もなく勢力を回復した。

 現在政府側が支配しているのは国土の半分以下となり、主要都市がタリバンに包囲されたり、制圧されたりする事態も起きた。

 米国はタリバンとなんとか和平協定を結び、面目を保って撤退をするため、2010年からカタールのドーハでタリバンと接触、その後交渉を重ねてきたが、優勢になったタリバン側は「外国軍の撤退が先決」との姿勢で、交渉は一進一退を続けている。

 世界最強の軍事力を誇る米国が、蔑視していたタリバンに和を請う形だ。1979年から88年の9年間ソ連と戦って勝ったアフガン人は米国にも勝つことになりそうだ。