百々 人生は栄枯盛衰です。平家の貴族ならではの生き方が勉強になります。
貴族中心の権威主義の世の中から武力と経済観念を忠盛から引き継いだ平家の台頭と同時に、民衆の文化も同時に花開いた複雑な歴史の転換時代に生きた様々な人々の生き様を知ることができる物語だからです。
とにかく登場人物が多いので、人生のサンプルが多く取れることですね。
他の古典、軍記だと史記以外はほとんど武官、文官の物語しか登場しませんから。
和歌も多く、「玉葉」をはじめとした貴族達の日記から三次元的にも楽しめる。
雅でいて壮大で荘厳な唯一無二の物語なんですよ。
物語の中に人生の師がいっぱいいる感じです。
――なるほど。出口さんの平清盛に対する評価はとても高いですね。
百々 僕もそうです。本当にすごい。あの乱世の時代に
清盛は大好きですね、
――出口さんは、夜、寝る前に1時間、本を読まれるそうです。
百々 出口さんはきっと、すべての世界を知りたいんですよ。
――そういえば、『哲学と宗教全史』の「はじめに」に、こんな記述がありました。
あるとき、哲学者になった僕の友人に、「なぜ哲学を専攻したのか」と尋ねたところ、彼は「世界のすべてを考える学問という点に惹かれた」と答えました。
(中略)
この本では、世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、丸ごと皆さんに紹介したいと思っています。
皆さんが世界を丸ごと理解しようとするときの参考になれば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。
百々 「丸ごと」。出口さんらしい表現ですよね。
――去年は僕の大切な友人が亡くなった忘れられない一年です。ちょうどそのときに、『哲学と宗教全史』をつくっていたことに何かのシグナルを感じています。
百々さん、命には限りがあるじゃないですか。百々さんはそのせつなさとどう現場で戦っているんですか。
百々 出口さんのツイッターによく「セミ」の画像が出てきますが、たくましく生きているセミの姿を見ても面白いと思えるかですよね。セミの生態系がどうなっているかを知っているだけで楽しいじゃないですか。僕は昆虫の世界が大好きだから、感動する。僕も、知らないことを全部知りたい。
――続きはまた次回聞かせてください。
これまでの『哲学と宗教全史』の連載ダイジェストはこちらをご覧いただければと思います。