きちんとした管理がなされず老朽化が進むマンションが、一部で社会問題になりつつある。建て替えや敷地売却などを行う「マンションの終活」とはどういうものなのか。そして、実現するためにはどのような課題があるのか。前回に引き続き、旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所の大木祐悟副所長が解説する。(旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所副所長 大木祐悟)
マンション終活の
2つの手法
マンションの終活手法は大きく2つある。「建て替え」と「マンション敷地売却」だ。
建て替えとは文字通り古いマンションを壊し、その土地の上に新しいマンションを建て替えることである。建物の区分所有等に関する法律である区分所有法では、区分所有者の頭数と議決権のそれぞれ5分の4以上の同意で建て替えを決議することができる旨を規定しているので、マンション建て替えは多くの場合、建て替え決議を経て建て替えを進めている。だが、小規模なマンションを中心として全員同意で建て替えているケースもある。
一方、マンション敷地売却とは、マンションと土地を第三者に売却して、売却代金を区分所有者で配分する手法である。
区分所有法にはマンション敷地売却決議についての規定はないため、この手法で進めるときは、原則として民法の規定により全員同意で進める必要がある。
だが、マンションの建て替え等の円滑化に関する法律である円滑化法の規定により、耐震性に問題があり行政から「要除却認定」を受けたマンションについては、建て替え決議の要件に加えて、土地の共有持ち分の価格について5分の4以上の賛成があれば、マンションとその敷地を売却する決議をすることが可能となる。