中国は製造業の高次化計画「中国製造2025」でディスプレーや半導体の内製化率アップを掲げており、いまや中国本土にある生産拠点を抜きにして、電子産業のサプライチェーン(部品供給網)は成り立たなくなっている。今後、中国におけるサプライチェーンの寸断リスクを懸念して、台湾メーカーとの取引拡大を模索する動きも加速しそうだ。
インターネット上では、肺炎患者を収容する病院建設のため、武漢の広大な敷地を無数の建機が縦横無尽に動く動画が連日流れている。だが「特需は限定的。中国全省の中で武漢のある湖北省のシェアは4番目に高い。むしろ、内陸部のインフラ投資の冷え込みが恐ろしい」(建機メーカー社員)と悲鳴を上げている。
株式市場は、中国消費の冷え込みのみならず、封鎖長期化によるサプライチェーンの寸断、生産活動へのマイナスの影響を織り込んでいるようだ。メイコー、サンケン電気、安川電機など、中国の需要に依存する企業の株価騰落率の落ち込みが激しい。いかに日本企業のビジネスが中国に依存しているかの証左でもある。
日経平均は続落、リスクオフで円高
マーケットは封じ込めの成否を注視
感染封じ込めにいつめどが付くのか。金融・資本市場が注視するのはこの一点だ。
25日に中国政府が発表した27日からの海外旅行禁止、26日の新型肺炎の患者数が2744人に達したという同政府の公式発表などを受けて、27日の週明けの市場は一気にリスクオフ(投資家がリスクのある資産への投資を控える状況)に傾いた。