感染封じ込め策による個人消費の落ち込みなどで中国経済減速に拍車が掛かり、世界経済も減速することや、日本を含めた周辺国の観光客減によるインバウンド需要の冷え込みを市場は懸念している。

 日経平均株価は27日、28日と続落した。28日の終値は2万3215円となり、2日間で611円の下落となった。21日から下落が続いていたニューヨークダウも、27日に前週末比453ドル安の2万8535ドルを付け、大幅な下落となった。

 円はリスクオフ時のセオリー通り安全通貨として買われ上昇、27日には7日以来の1ドル=108円台を付けた。

 早期に感染拡大に歯止めがかかるめどが立てば、中国の生産活動への影響は限定的となり、新型肺炎が終息する前でも株価は落ち着きを取り戻し、影響が懸念された銘柄も値を戻すだろう。

 逆にこれから感染拡大に拍車が掛かるようなら、封じ込め策強化で個人消費だけでなく、生産活動や設備投資も冷え込み、中国経済への打撃は大きくなる。中国以外でも感染拡大を防ぐために外出を控える人々が増えることになれば、一層のリスクオフへの傾倒、株価下落は避けられないだろう。

 03年2月下旬に感染拡大が認識され、同7月に終息したSARSの場合は、3月のイラク戦争勃発と早期終息の見通しで、株価は感染がピークの4月に底を打った。新型肺炎の感染拡大がSARS並みとするなら、株式市場は少なくとも3月前後までは停滞を続ける公算が大きい。

(ダイヤモンド編集部新型肺炎取材班、特任アナリスト 高口康太)