65歳以降の公的年金の額は、現時点で年間190万円とのこと。早期退職後は保険料を支払うのは国民年金だけになるため、65歳以降の年金額は現在からそれほど増えず、年間200万円とします。年間の支出額を300万円とすれば、毎年100万円を貯蓄から取り崩すことになり、取り崩し金額がその後も変わらないとすれば、約91歳まで金融資産は持つ計算になります。

「91歳までしか持たないのか」と心もとなく思われるかもしれませんが、この金額はご両親に毎月7万円の仕送りを18年間、かつ予備費300万円を負担したケースです。また、退職後の生活費も現在より48万円多く見積もっており、その支出額がずっと続くとやや厳しめ試算した結果です。

 仮の試算になりますが、私の見解では2年後の早期退職も十分可能です。もっとゆとりを持つための1つのカギは、早期退職後に多少なりとも収入を得ることです。早期退職後は1~2年くらい休まれ、その後、アルバイトなどで月5万~6万円くらい収入を得るのはいかがでしょうか。月5万~6万円であっても10年間続ければ600万~720万円も確保できます。さらに、お金を確保できるのみならず、生活のリズムを整えられる、社会とつながり続けられることの効用も大きいでしょう。

 Wさんが53歳で早期退職し、1~2年休まれても55歳ですからまだまだ若く、体を動かすという観点からも無理のない範囲でアルバイトなどを行っていただきたいと思います。もちろん体調が第一、ストレスがたまるなどの弊害があれば、すぐ辞められて構いません。

 あるいは生活をダウンサイジングすることも、資産寿命を延ばす方策の1つです。早期退職を考えられているならば、現在保有する金融資産の75%がリスク資産となっているため、その割合を徐々に減らしていく準備を始めてください。現在は働いて多額の収入を得ているのでリスク許容度はそれなりにありますが、早期退職するとリスク許容度は大幅に低下するからです。すぐに売却を、とは言いませんが、早期退職時までに預貯金と投資資産の割合を半々程度にしておくとよいでしょう。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)

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