急騰する穀物の先物価格
米国での56年ぶりの大干ばつや黒海沿岸の穀物産地(ロシア、ウクライナ、カザフスタン)での高温・乾燥などから、大豆、トウモロコシ、小麦の先物価格が急上昇している(図表1参照)。中でも大豆とトウモロコシの先物価格は史上最高値を更新している。
「エンゲル係数」が重要に
穀物価格(食料価格)は主に家計の交易条件、すなわち購買力を左右する。家計の購買力が穀物価格の上昇に対してどの程度脆弱かを測る際、「エンゲル係数」が重要となる。
エンゲル係数は家計の消費支出に占める食料費支出の割合と定義される。したがって、同係数が高いほど、穀物価格ひいては食料価格の上昇によって家計の購買力は毀損しやすい。
食料のウェイトが高い
日本のCPI(消費者物価指数)
一般にエンゲル係数は、所得水準が低い国ほど高くなるといわれる。しかし所得水準が高い先進国の中に、この係数が目立って高い国がある。他でもない日本だ。
エンゲル係数の代理変数としてCPI(消費者物価指数)における食料のウェイトを見てみよう(図表2参照)。米国やユーロ圏17ヵ国はいずれもこのウェイトが14%程度と低い。ところが日本は25%と米国やユーロ圏の2倍近くの高さであり、インド(24%)、インドネシア(24%)、メキシコ(23%)などの途上国よりも高い。