(1)あえて「痩せよう」とは思わない

 40代になると、多くの人が健康診断の結果に大なり小なり危機感を感じて、「このままの食生活ではまずいな」と思うようになります。「太るのは不健康、健康のために痩せる必要がある」と食事を制限し始める方が増えるのもこの頃です。

 一方、加齢に伴い、体力の低下を不安に思う方も少なくありません。40代、50代はちょうど更年期障害などと重なるので、ちょっとした不調もなんとなく年のせいにしてしまいがちです。しかし、それらの症状は栄養不足からきていることも多いのです。

 私がお会いする60歳を超えて元気に働いている方々は、「食べすぎは良くないよね」「飲みすぎは良くないよね」とは言っても、病気以外の理由で食事制限はしていない印象です。十分な量の食事をとることで、元気に働ける分の栄養をきちんと補給しているのです。

 たとえば、今は炭水化物を控える人が少なくないですよね。でも、炭水化物は重要なエネルギー源。これが不足しているようでは、「体力の低下」や「疲れやすさ」を感じるのも不思議ではありません。加えて、炭水化物は脳のエネルギー源でもあります。低栄養による認知症のリスクを下げるためにも、むやみに「ゼロ」にしないことが大事です。

 炭水化物のとりすぎはだるさや肥満を招きますが、だからといって目の敵にしていては、エネルギー不足で体を動かす「気力」も「体力」も不足してしまいます。一度にドカンと食べるよりも、1日を通して快適に過ごせるように、毎食適量をとるとよいでしょう。

 また、炭水化物は食物繊維の大きな供給源にもなります。食物繊維にはさまざまな作用がありますが、生活習慣病の予防効果のためにも、腸内環境を良くするためにも意識したい栄養素です。腸の蠕動(ぜんどう)運動も加齢とともに低下するので、便秘になりがちな人は特に不足しないように気をつけたいものです。