生産年齢人口は減っているのに
働く人は約380万人増えた

加藤 今まで長時間労働によって、選択できる職種や雇用形態の幅が狭くなってしまっていた。しかし、多様な働き方が提供され、それを自由に選択できるようになれば、働く人にとってプラスであることは間違いありません。社会全体から見ても、働く人数や総労働時間もかえって増えるのです。

 実際、この安倍政権の6年で、いわゆる団塊世代が65歳を超え、15歳から64歳までの生産年齢人口が503万人くらい減少したのですが、就業者数は384万人増えたのです。

小室 実は社会全体の労働時間を短くしたら、労働参画できる人がまだいっぱいいたということですね。それが今まで潜在労働力になってしまっていた。もしそのまま収入を得られなければ、将来生活保護の対象になることで、ますます財政は逼迫するわけですね。

加藤 増加した就業人口の内訳を見ると、女性と65歳以上の高齢者が増えたことによって、この間の経済成長が支えられてきたわけです。さらによく見ると、2016年から18年の間に正規雇用労働者数も109万人増加しています。

 調査では条件が整えば働きたいと考える人が、さらにたくさんいることがわかっています。そういった皆さんが働ける環境をつくっていくことが、皆さんの幸せ、そして国全体の活力の増加につながっていくと思います。

小室 就業機会が拡大するだけでなく、働く人の意欲も高まることが期待されますね。

加藤 おっしゃる通り、納得して仕事に取り組むか否かで、アウトプットも大きく異なってくると思います。それは結果的に企業の生産性向上や賃金上昇にもつながり、分配が増えることによって消費活動が活発化するという形での、好循環の波及が期待できます。

 小室さんがコンサルタントとしてサポートしている企業にも、変化が出てきていますか。

働き方改革で社会も変化
物流業界は活路を見出した

小室 働き方改革が難しいといわれてきた建設業や物流業でも、変化が目覚ましいと感じています。

 以前は、たとえば物流会社では「全然人が集まらない」と困り果てていました。それは労働環境が変わらないことによって、採用では無意識に「長時間のシフトに耐えられる屈強な男性」のみを募集していたからなんですね。ネットショッピングが普及して、本来なら業界的には一番仕事があるはずなのに、人がいないせいでビジネスチャンスを失いかねない状況があったわけです。

 けれども、全社的に働き方を見直し、シフト時間を短くし、2トントラックを軽トラに変えて、女性ドライバーも積極的に募集するようになったことで、採用に困らなくなった。まさに職場全体の働き方を変えることで、活路を見出した好事例だと思います。

加藤 そうですね。働き手を広げていく上では、これまでのように男性で朝早くから夜遅くまで働ける人だけで会社を運営することには限界があります。こういった認識をきちんと持っている経営トップの皆さんが、積極的にマネジメントのあり方や業務プロセスの変革に取り組んでいますね。

 かくいう私は、かつて「長時間労働が当たり前」という時代を過ごしてきたわけですが、今の若い皆さん方には、仕事やプライベートにメリハリをつけて取り組む意識が高まっているように感じます。

小室 以前うかがって大変印象的だったのは、加藤大臣には娘さんが4人いらっしゃって、一緒に買い物にも行かれると。仕事一辺倒の議員さんが多い中で、ライフの時間をとても大切にされていますね。

加藤 娘と朝ご飯に行くようなこともありますよ。

小室 朝ごはんですか。世のお父さんは、なかなか娘から朝ごはんに誘われませんよ(笑)。

加藤 あるいは、「夜、ちょっと飲み行こうよ」ということもあります。そういった場で娘と話し、若い人たちが今何を考えているか、どういうことが注目されているかを聞くことが、私の政治活動にもプラスになっていると感じます。

10階の大臣室まで
必ず階段で上がる理由

小室 まさに、ワーク・ライフシナジーですね。そうえいえば、大臣は非常に身体を鍛えていらっしゃることでも有名です。大臣室まで階段で移動し、しかもそのスピードも速いので、SPさんより先に部屋に着かれることがあるとの噂を耳にしましたが……。

加藤 そうですね。10階の大臣室まで、よほどのことがない限り階段を使うように心がけています。議員会館も11階なのですが、そこまで階段で上がっています。

小室 噂じゃなくて、本当だったんですね。では、番記者の皆さんも一緒に?

加藤 皆さん、途中から「ぜーぜー」言っています。

小室 記者さんも、早く帰って身体を鍛えないと仕事にならないですね(笑)。

加藤 忙しい中でも、家族、健康のために時間を使うことを意識しています。