ウイルス感染者が増えるなか、中国当局は団体旅行の禁止の措置を打ち出し、一方で中国からの訪問者の入国拒否やビザ発給停止を実施することで感染拡大阻止を図る国・地域も増えた。

 中国からの旅行予約のキャンセルは急増しており、ウイルス感染に終息のめどが立たないなか、少なくとも1~3月期中は各地への中国人旅行者が急減する見込みだ。

 中国からの旅行者が半減すると仮定(香港ではデモの悪影響により旅行者数が2019年後半にすでに前年から半減しているが、そこからさらに半減すると仮定)すると、1~3月期のGDPを香港では2.0%、タイでは1.6%、押し下げると試算される。

 香港とタイについては、観光業の低迷の影響だけで1~3月期のGDP成長率が前年同期比でマイナス成長に陥る可能性も出てきた。

 特に、香港については、デモによる景気低迷が続くなかでの追い打ちとなり、2年連続での年間マイナス成長も否定できない。

厳しい規制策がさらに「悪循環」を招く
中国消費低迷で台湾は対中輸出減

 中国国内の消費低迷による中国向け輸出の減少も考えられる。

 今回の一連の騒動のなかで、中国では、地方政府当局などの初動の遅れが指摘され、そうした当局への批判の高まりとともに、SARS発生時の対応の教訓も踏まえ、「都市封鎖」など、対応策は大規模かつ厳しい措置になっている。

 中国当局は1月24日から30日までだった春節休暇を延長した(1月27日に2月2日まで延長と発表したが、1月31日に再度延長。期間は各地域でそれぞれ異なるが、感染者の最も多い湖北省は生産などの休業をさらに2月21日まで続けることになった)。

 武漢市ではほぼすべての交通を封鎖するなど隔離状態となっているが、それ以外にも多くの都市で企業や学校の再開が延期され、道路の封鎖、飲食店や観光名所の閉鎖が実施されている。

 中国本土では多くの人が自宅での待機を強いられ、消費活動は縮小せざるを得ず、日用品を除き、個人消費の大きな減少が避けられない状況だ。

 日本総研では、個人消費低迷を主因として、中国の1~3月期の実質成長率は前年同期比+5.0%と、2019年10~12月期の+6.0%から大きく低下すると予想している。

 中国の消費低迷は、アジアでの対中輸出のウエートが高い台湾やベトナムなどの国・地域にも影響を及ぼす。