今後、中国では企業の活動が停滞気味に推移し、成長率の低下や過剰な生産能力の増大から債務問題(灰色のサイ)が深刻化する恐れがある。さらに、中国では消費者物価が上昇している。新型肺炎の感染拡大により中国経済の不安定性は一段と高まり得る。米国や欧州各国でも先行きを警戒する経済の専門家が増えている。新型肺炎が世界経済に与える影響は過小評価できない。

新型肺炎が韓国など
世界経済に与える影響

 新型肺炎の感染者の増大を受け、消費財の輸出やサプライチェーンの重要拠点となってきた中国では、経済活動に混乱が広がっている。これを受け、世界各国の企業に負の影響が波及し始めた。

 その一つに、中国の半導体需要に依存してきた韓国が挙げられる。新型肺炎は、韓国の半導体業界の業績悪化の一因となり、景気の下方リスクは高まりやすくなっている。昨年から各国で5G通信サービスが開始され、新型のスマホやICチップへの需要が高まるとの期待が膨らんだ。それは、中国経済に依存してきた韓国などにとって経済の安定化を目指す重要な要素の一つだった。

 しかし、新型肺炎が、世界のIT業界の活動に急ブレーキをかけている。アップル製品の組み立てを行ってきた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や和碩聯合科技(ペガトロン)の工場では、肺炎の影響から全面再開のめどが立っていないようだ。

 事態はかなり深刻と考えたほうがいいだろう。中国の半導体需要は、世界全体の50%程度を占める。中国での生産再開に時間がかかると、サムスン電子を筆頭とする韓国の半導体産業は需要だけでなく資材、資金調達、中国以外の国への生産拠点の移転など、かなりの影響が及ぶと考えられる。

 足元、韓国の半導体業界は不安定な収益状況から脱し切れていない。昨年10~12月期、サムスン電子の業績には底入れの兆しが見られた。一方、SKハイニックスは前年同期比で営業利益が95%減だった。韓国半導体業界は米中との競争にも対応しなければならない。

 新型肺炎の感染による中国経済の減速リスクに韓国が耐えられるか否か先行き不透明感は高まっている。生産・販売の両面で打撃を受け、資金繰りひっ迫に直面する韓国の中小企業も出始めているようだ。さらに、武官が封鎖されたのち、韓国の航空業界では中国便が70%も減少した。

 新型肺炎は、日本など主要国にも無視できないリスク要因である。日本でも観光や自動車の生産に影響が現れている。日産自動車は九州の工場の稼働を一時停止するようだ。中国の操業再開を慎重に考えるわが国の企業も多く、業績への影響は軽視できない。