債券投資のコストは、実はETFを使った方が安い

ETFは株式だけでなく、債券や投資しにくいものも買えるのがメリット安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師
三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。
WEBサイトhttps://ria-japan.co.jp/

 あるETFプロバイダーの試算によれば、投資適格社債を組み合わせた“バスケット”を市場で取引した売買のスプレッド(=売る値段と買う値段の差)は、25bps(=0.25%、bps=ベーシスポイント)ですが、ETFの売買スプレッドは、わずか1bps(=0.01%)でした。

 仮に5000万円の場合でいうと、24bps=0.24%の差は12万円にもなります。

 プロの運用者や富裕層の運用では、もっと大きな金額の運用の場合も考えられるので、コストの差は大きく響いてきます。

 コストに敏感なプロや富裕層は、ETFを活用しているのです。

業種のまとめ買い、セクター投資もETFで可能に

 「情報技術」と聞いてもピンと来なくても、「IT(アイティー)系」と聞けばイメージしやすいかもしれません。

 30年前には設立さえしていなかった会社が、日本を代表する歴史ある自動車メーカーの株式時価総額を上回る規模に成長しています。

 仮にこれからも「IT系」が伸びる、と考えるならば「IT系」のまとめ買いができたら便利だなと感じませんか。このような、業種もまとめ買いもETFならばできるのです。

 世界産業分類(GICS)では、産業を以下の11に分類しています。

 ①エネルギー、②素材、③資本財・サービス、④一般消費財・サービス、⑤生活必需品、⑥ヘルスケア、⑦金融、⑧情報技術、⑨コミュニケーション・サービス、⑩公共事業、⑪不動産

 このように業種をグループ分けし、そのグループに投資する「セクター」投資という方法もカンタンにできるのです。

 例えば、今後を以下のように予想したとします。

 すでに投資してきた「不動産」セクターは十分に上昇しバブル傾向だろう

 →不動産セクターのETFを売却し、利益を確保する

 景気が悪い時期でも、必要なモノは買うだろう

 →生活必需品セクターのETFを買う

 このような対応も、必要に応じて機動的に行うことができます。