3月2日に発表された大手百貨店の2月度の売上高速報値。大丸心斎橋店は前年同月比54.5%、三越銀座店は同63.8%、松屋銀座店は同67.6%――。これまでインバウンド需要で持ち堪えてきた主要店舗の業績は、目を覆いたくなるような惨状だった。以下にまとめたのが、大手の主要店舗の2月度売上高の前年同月比(速報値)である。
●三越伊勢丹ホールディングス
伊勢丹新宿本店 89.6%
三越日本橋本店 84.1%
三越銀座店 63.8%
●高島屋
大阪店 74.4%
京都店 84.4%
●J.フロント リテイリング
大丸心斎橋店 54.5%
大丸梅田店 77.7%
●エイチ・ツー・オー リテイリング
阪急うめだ本店 81.9%
阪神梅田本店 80.1%
●松屋
銀座店 67.6%
消費増税の直撃と異例の暖冬
コロナ禍がなくても苦境だった
加えて、新型コロナウイルスの影響は中国人客の減少だけではない。日本人の買い物客も減少し始めているという。感染源を特定できない感染者が続々と国内で見つかったことで、外出を控えるムードがまん延。買い物客が外出する機会そのものが減っている。
ただ、そもそも“コロナ以前”から、百貨店の日本人客の動向は鈍っていた。昨年10月1日から消費税率が10%に引き上げられ、キャッシュレス決済によるポイント還元や軽減税率といった負担軽減策とほぼ無縁の百貨店業界に、増税の影響が直撃する形に。10月の全国百貨店売上高は前年同月比17.5%減となっていた。
さらに異例の暖冬により、冬物衣料の不振も極まった。それでも、今年1月は同マイナス3.1%に戻していたのだが、今後さらに日本人客の消費を冷え込ませる要素がある。