日経平均急落で資産効果が“逆回転”
日本人富裕層の消費も減退する可能性
日経平均株価は2月中旬まで2万4000円台をうかがう状況で推移していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の懸念から米国ダウ平均が暴落したことを受けて、2月25日、前営業日の終値ベースで800円弱急落した。
株価の暴落は、日本人富裕層の消費意欲を直撃する。インバウンド需要が化粧品にシフトし、中間層の日本人客が財布のひもを締める中、百貨店業界で唯一の“命脈”だったのが日本人富裕層の需要だった。中国人観光客の爆買いが高額品から化粧品にシフトして以降、高級腕時計などを購入していたのは、実は日本人富裕層だったのだ。
百貨店の景気は株価の上下と連動するといわれる。株式を保有している日本人富裕層にとっては、株高による資産効果が消費の後押しとなってきたため、日経平均の急落でこうした好循環がむしろ逆転する可能性がある。
米国ダウ平均株価の暴落は、米国国内でのコロナウイルスの感染拡大を懸念したためとされ、改善の見込みは立っていない。日経平均は3月2日の終値で前営業日から約200円値を戻し2万1344円の小康状態となったが、米国の株式市場が荒れれば、再び大きく揺さぶられることになる。
不振の婦人服の売り上げに依存し、構造改革がなかなか進まないと指摘されてきた日本の百貨店業界。もとより景気に敏感な業種ではあるが、突如として世界に広がった未知のウイルスに大きく振り回されることになった。その“症状”は他業界以上に深刻である。