多くの労働者が働けずに
生活難に直面している

 外出禁止などに伴うストレスなどで精神面への影響も大きい。

 全国に号令をかけた「マスク着用、外出禁止、自宅勤務、学校休校」などの措置に、中国の国民一人ひとりが協力し、「自宅から出ないのが社会への一番大きい貢献だ」と、黙々と耐えて過ごしてきた。

 外食はもちろん、親戚や友人とも会ってはいけない、人々の集まりも禁止されていた。そんな中で、これらの規制を順守しなかった人に対して、罰金、強制隔離、拘束、暴力的振る舞い、平手打ちなど、法的な根拠のない人権侵害のような行為が各地で起こった。

 社会や経済面への影響も出始めている。

 現在でも、多くの地域で道路を封鎖していたり、外出禁止の状態である。物流が滞っている中、さまざまなコストが上がり、物価が高騰している。一番問題となっているのが、多くの労働者が仕事に就くことができずに収入がなくなって、生活難に直面していることだ。

 ただでさえ経済格差の大きい中国では、「自分の命より家族を養うためのお金の方が大事」という状況に置かれている人がまだまだ多い。統計では62.6%の人が非正規雇用者である。これらの人々はたとえばデリバリーの従業員、飲食店や屋台の店員、タクシー運転手、旅行社のガイド、中小企業の従業員などだ。そして、農村部の農民は、作った野菜や果物を外へ運ぶことができずに莫大な損失を被っている。

 これらすべて、国民が「代償を払っている」ということだ。長い歴史から見れば、ほんの一幕にすぎない出来事でも、個々人にとっては人生が変わってしまうほどの出来事だ。

多くの中国人にとって
日本は理解が不能

 一方、日本は民主主義の国であり、中国のように一斉に強硬な命令を強制できない。

 日本は現在、「イベント自粛、時差通勤・リモートワーク推奨、休校要請」などの対策を講じながら、医療体制を崩壊させないように、原則的には「軽症の人は自宅療養、重症の患者にベッドを確保」というように、患者の状態によって優先順位を付けた方針を明らかにしている。その理由は、仮にコロナウイルスに感染しても「8割が軽症であり、自宅で安静にすれば治る」という理由からだ。

 また、日本では人々が概ね支障なく、普通に自由な日常生活が継続できている。マスクやトイレットペーパーなどが手に入らないこと以外は、スーパーには食材が充実し値段も安定している。街には普通に人々が行き交い、大勢の人で賑わっていた有名観光地を除けば、休日には地元の商業施設などでは相変わらず人が出ている

 中国とはあまりに対照的であり、中国人には信じられないことである。