パンデミックへの対処や経済へのダメージを回避するためには、国際的な協調体制の強化が必要だが、その動きは今のところ見られない。

 G7の議長国がイニシアティブをとるべきなのだが、今年は議長国が米国で、トランプ政権になって、米国の国際協調体制離れは顕著だ。

 こうした状況で、冷戦時代に培われ、最近まで続いてきた先進民主主義国の協調体制は壊れつつある。

 欧州でもアジアでも、米国からは離れる動きがどんどん強まり、一方でEUの求心力は衰え、米国に近い英国・東欧諸国と、米国と距離を置く独仏を中核とする諸国の分断が明らかになりつつある。

 従来考えられていたような民主主義体制を基本とする「西側諸国」は、一枚岩ではなくなっているのだ。

 新型コロナウイルス・パンデミックは長期間にわたると予想され、この間に、各国が自国優先主義を強めると、従来のように、共産党独裁の強権体制だからという理由で中国を忌避するという雰囲気ではなくなっていく。

 アジアでもその傾向は強いのかもしれない。アジアでは民主主義体制が定着してきたわけではなく、いくつかの国では強権体制が国の発展に効果的という見方もされている。

 世界の分断と対立は日本にとって好ましいことではあり得ない。米国との同盟関係を維持しつつ中国との経済関係を重視し、国際協調体制から利益を受ける日本こそが、世界が分断に進むのを抑える重要な役割を担うべきではないのか。

 そのためには、日本は国内のウイルス感染をできるだけ早く終息させなければならない。そして国内支持率に右往左往する政治に終止符を打ち、長期を見据えた大戦略の下で行動していくことが何よりも必要な時代だということを強く認識したほうがいい。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)